ビジョン2025の推進にかかる予算措置

概要

協会の各委員会が、第68回総会で策定された「ビジョン2025」を推進するため、委員会調査研究費ではまかなうことのできない事業(戦略的海外派遣を含む)を実施する際の制度として、2021(令和3)年11月に開催された秋季理事会で創設が承認されました。委員会から提出された事業計画に基づいて理事会で協議の上、予算を措置する事業を選定しています。実施期間は令和3(2021)年度から令和7(2025)年度までです。

実施状況

令和6(2024)年度

  • 委員会名:資料委員会
  • 事業名:公開勉強会「研究成果の可視化と大学図書館」
  • 実施期間:令和6(2024)年10月3日~令和7(2025)年1月10日
  • 事業目的・趣旨:
    学術コミュニケーションの主要な過程において、大手商業出版者によるプラットフォームの寡占化や、AI搭載ツールの急速な普及が進行している。一方、わが国では2024年2月16日付「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」により、科学研究費(日本学術振興会)を含む特定の競争的研究費を受給する者に対し、機関リポジトリ等の情報基盤へ学術論文及び根拠データを即時掲載するよう義務づけることとなった。さらに大学や研究機関では、文部科学省の「オープンアクセス加速化事業」などにより、学内の体制整備・システム構築を行っているところも多い。
    学術コミュニケーションの転換期ともいえる状況の中、図書館が取り組むべき課題は山積であるが、今回は「研究成果の可視化」に関する公開勉強会を開催する。学術情報ビジネスの動向に通じた有識者であり、長らく研究者のサポートにも携わられている学術情報コンサルタントの宮入暢子氏の講演の後、宮入氏と大学図書館職員による議論の場を設ける。ジャーナル問題やOA、PID等多くのトピックを横断するこのテーマについて、大学図書館職員が知識を入手し、さらに大学図書館やその職員が果たすべき役割について考えを深めるきっかけとなることを期している。
    今回の事業の対象は、図書館やその機能の将来像について関心のある国立大学図書館協会会員館職員等とする。現在の所属や担当業務、大学図書館での経験年数は問わない。
  • 実施内容:
    1. 開催準備(2024年10月3日~2025年1月9日)
    2. 公開勉強会「研究成果の可視化と大学図書館」の開催
  • 事業の成果:

令和5(2023)年度

  • 委員会名:資料委員会(オープンサイエンス小委員会)
  • 事業名:公的助成機関によるオープンアクセス方針に関する英国の事例調査
  • 実施期間:令和5(2023)年12月~令和6(2024)年4月
  • 事業目的・趣旨:
    日本において、「統合イノベーション戦略2023」により2025年度新規公募分からの学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向け、国としての方針を策定することが示されるなど、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの動きが加速している。
    英国ではこれに先行する形で、2010年代から順次公的助成機関によるオープンアクセス義務化への対応を行っており、結果として論文のオープンアクセス率がこの数年で大幅に上昇している。そのため、英国の大学図書館および関係機関の対応や取組みを調査することは、日本の大学図書館の、より実効的なオープンアクセス推進支援策の構築に資すると考える。
    なお、英国におけるオープンアクセス義務化への対応については、2016年の調査や、2020年~2021年に米国大学図書館員が実施した調査があるが、長期間にわたる対応の中で得られた知見や課題に関する最新情報を詳細に聞き取り会員館に共有することで、今後の日本におけるオープンアクセス推進に寄与することができる。
  • 実施内容:
    1. 英国の事例調査(事前調査)
    2. 英国の事例調査(現地訪問)
    3. 会員館及び政府関係機関への情報共有(「英国オープンアクセス政策対応等調査報告会」の実施)
  • 事業の成果:

令和4(2022)年度

  • 委員会名:人材委員会
  • 事業名:大学図書館職員養成に必要なスキル及び養成カリキュラムに関する調査研究
  • 実施期間:令和5(2023)年2月~令和6(2024)年4月
  • 事業目的・趣旨:
    国立大学図書館協会ビジョン2025において「図書館職員に求める人材像を明確化」することが求められているが、具体的にどのようなスキルの習得が望ましいのか、国内の過去の調査及び海外の先進事例の調査・分析から明らかにしていく。
    日本における司書資格は公共図書館向けの職務内容に留まり、大学図書館においては各種研修での習得が主たるスキルの獲得方法となっている。
    しかし、大学図書館に求められる機能は高度化しており、伝統的な職務には収まらない状況である。このため、採用後のリカレント教育で習得すべきスキルを明確にすると同時に、大学図書館職員養成を目標としたカリキュラムについても考察する。
  • 実施内容:
    図書館情報学の研究者チームと合同で以下を行う。
    1. これまでの人材に関する調査・報告書の総括
    2. 海外の学術図書館職員養成プログラムの調査・分析
    3. シンポジウム等を通じた会員館への成果共有と意見交換
  • 事業の成果: