電気通信大学「UEC Ambient Intelligence Agora(AIA)」

電気通信大学「UEC Ambient Intelligence Agora(AIA)」

電気通信大学学術国際部学術情報課の上野友稔さん(学術情報サービス係長)、上野耕平さん(学術情報サービス係)に、IoTとAIが融合した新しい学びの場である「UEC Ambient Intelligence Agora(AIA)」(以下、通称である「Agora」を用いる。)の取り組みについてお話を伺いました。

上野友稔さん(左)と上野耕平さん(右)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上野友稔さん(左)と上野耕平さん(右)

 Agoraについて
2017年4月に電気通信大学附属図書館内に設置された、図書館利用者のためのアクティブラーニングスペースとAI研究等のための実験スペースが融合した学修空間。センシングにより利用者行動をデータ化し、学術研究ならびに図書館のサービスと環境改善のために活用しています。
 

Q: Agora始動のきっかけはどのようなものだったのですか? また、Agoraが実際にできあがるまでには、どのような道筋で進めていったのでしょうか。

(上野友稔さん)
アクティブラーニングスペース改修の予算要求をしていたのですが、図書館単独での予算獲得がなかなか実現しませんでした。そこで、学内の教員あるいは研究組織とコラボした予算要求ができないか、課長を通して当時の理事に相談したところ、ちょうど国立大学では初めて AI研究を専門とするセンターが設置されることになったので、このセンター設置と絡めた予算要求ができないか考えてみてはどうか、というアドバイスをいただくことができました。それから人工知能先端研究センター長(当時)・栗原聡先生と一緒に具体的なアイデア出しをしていって、現在の Agoraの構想を形作っていった、という流れです。Agoraに設置する各種センサーやサーバ等は、栗原先生に技術的な助言をいただきながら整備していきました。什器等は基本的に図書館で選びましたが、ホワイトボードとしても使えるガラス製のパーティションは、栗原先生のお勧めで導入したものです。

Agoraを閲覧カウンター側から臨む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Agoraを閲覧カウンター側から臨む

Q: 現在の Agoraにおける図書館員の役割はどのようなものですか?

(上野友稔さん)
私達が所属する学術情報サービス係(職員3名+非常勤職員4名)全員で分担して運用にあたっています。日々のシステムの運用管理等は、上野耕平さんがメインで担当しています。たとえば図書館ウェブサイトや館内ディスプレイで公開している「現在の滞在者数と環境情報」は Agoraから取ったデータを元にしていますが、このシステムの管理などがあります。また Agoraでは、イベント開催のための場所貸しや Agoraを利用した研究活動への協力などもサービスとして提供していますが、その対応なども担当しています。館外との各種調整や、Agoraの意思決定を行う運営委員会のお世話などは私が担当です。エフォートとしては、自分が担当する業務のうち2-3割くらいでしょうか。
 

Q: Agora設置の以前と以後で、学生さんには変化がありましたか?

(上野耕平さん)
<学習行動について>
学内のアクティブラーニングスペースが多くはないため、学生さんが自習したいときの選択肢としては、図書館もしくは学内自習スペースの二択、という状況です。リラックスして雑談しながらというときは自習スペース、一緒に勉強するなら図書館、というように棲み分けがされていますね。 Agora内でもグループ学習用/個人学習用とゾーニングしていて、学生さんたちも上手に使い分けているようです。

<資料の利用について>
もともと2階にあった参考図書と人文系の資料を3階に移して、空いた2階に Agoraができました。3階に移動した人文系の資料の貸出冊数は減りましたが、Agoraと同じ2階の別スペースにある理工系図書については、貸出冊数は変わらないものの館内利用は増えている印象ですね。理工系図書を Agoraに持ち込んで学習している様子をよく見かけます。1階にも自習スペースはあるのですが、資料へのアクセスが良い Agoraのほうが、学習スペースとしての人気が高いようです。

<意識について>
Agoraで不定期開催している AIAミニシンポジウムは学生さんの参加も多いですし、図書館が提供したデータを使って研究をした学生さんが発表したこともあります。Agoraから得られたデータを元にした研究がアウトプットされ、それを取り込んで図書館のサービスアップにつなげる、という循環が元々の Agoraのコンセプトとしてあったのですが、それが実現しつつあると感じています。

2017年撮影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年撮影

Q: Agora設置の以前と以後で、図書館の職員には変化がありましたか? 特に、職員ご自身の意識や考え方について実感しているところはありますか。

(上野友稔さん)
もとから AI や IoTに精通していたわけでも、データを重視した構想があったというわけではありませんでした。ただ、Agoraの立ち上げに当たって、研究者との円滑な協働のために必要な知識を勉強したりしながら、コミュニケーションを少しずつ積み重ねてきた過程が現在の Agoraを作っています。Agoraから取得したデータが蓄積されてくるにつれて、Agoraから得られたデータをどう活用するか、図書館が抱えている様々な課題を解決するためのエビデンスにどうやって結びつけていくか、ということに意識が向いてきたように思います。

(上野耕平さん)
エビデンスをきっちり出して、課題に対して最適な対応を取る、ということを意識して行うようになりましたね。たとえば最近行ったシステムリプレイスでは、館内の Wi-fi 環境を実際に調査し、そのデータを元にした環境改善計画を提案しました。Agoraに関わってきたことで、データを取得してエビデンスとして活用し、次のアクションにつなげる、というプロセスを学ぶことができたと思います。

2017年撮影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年撮影
 

Q: Agoraの特色を活かした図書館サービスや図書館の運営として、今後、どのようなことをしていきたいと考えていますか?

(上野友稔さん)
コロナ禍でグループ学習スペースが開放できない現状を打破したい、ということの一方で、全学で実験実習等の遠隔教育システムの新規導入が進められており、図書館にもそのためのスペースを整備することになりました。グループワークスペースの再開を実現するため、今年度末にかけて、図書館全体の環境改善を行う予定です。具体的には、現在 Agoraのみに設置している各種センサーを館内全体に設置するほか、空調と換気機能の改修などを行います。これらの設備を活用した自動環境制御システムを導入し、コロナをはじめとする感染症リスクを抑えたうえで、オープンスペースでのグループ学習スペースを2023年度から試験的に再開する予定です。
また今後の展開としては、Agoraを通して、個々の学生さんの図書館におけるより細かいアクティビティを数値化できないかと考えています。様々なデータを集めて一つの物差しで見て考えてみることで、初めて見えてくることがあると思うので、図書館として教育研究に更に貢献できるヒントが見い出せるかもしれないと期待しています。


Agoraに関する担当窓口および連絡先: 
学術情報サービス係        
jservice-k@office.uec.ac.jp    
(@を半角にして送信してください) 

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「ビジョン2025重点領域2企画」担当者チーム 
北海道大学附属図書館 城 恭子(取材・文責)
 
愛媛大学図書館 古森 絢子(取材企画協力)
 
取材日:2022年11月11日(金)