平成10年6月24日
国立大学図書館協議会
第 45 回 総 会
学術情報センターのILLシステムが整備されたことにより,一次情報の共同・相互利用は著しく進展してきた。一方,現在の行財政の状況の下で,ILLに参加する各機関では,国内における一次情報の網羅的な収集,効率的な保存,効果的な提供に関して,サービスの低下を招きかねない予算,施設,運営の面での様々な問題が生じてきている。これらの問題を,総合的に検討することにより,学術情報システムにおける一次情報の共同・相互利用システムを,今後どのように整序し強化していけばよいかを検討する。
2. 検討事項
全国的に組織化された大学図書館の連合体として,今後総合的に展開すべき次の諸機能について検討する。
(1)特別委員会の構成は次のとおりとする。
(3)特別委員会に,具体的問題を検討するため,ワーキンググループを置くことができる。
4. 期 間
特別委員会は,設置後2年を限度とする。ただし,その時点で理事会においてそれまでの活動状況を評価し,その後の対応すべき課題を明確にした上で,総会の審議を経て,1年単位で延長することができる。
平成10年9月24日 | 特別委委員会会合 |
同 上 | 委員会・ワーキンググループ合同会合 |
10月2日 | 図書ワーキンググループ会合 |
9日 | 雑誌ワーキンググループ会合 |
27日 | 同 上 |
平成11年1月12日 | 図書ワーキンググループ会合 |
10月8日 | 図書・雑誌ワーキンググループ合同会合 |
12月15日 | 同 上 |
平成12年3月1日 | 同 上 |
平成13年2月5日 | ワーキンググループ会合 |
5月30日 | 特別委員会会合 |
委員長館 | 斎藤 彬夫 | 東京工業大学附属図書館長(平成13年4月1日〜) |
伊賀 健一 | 同 上 (平成12年4月1日〜13年3月31日) | |
永井 和夫 | 同 上 (平成10年6月〜12年3月31日) | |
副委員長館 | 安藤 英義 | 一橋大学附属図書館長 (平成10年12月1日〜) |
石 弘光 | 同 上 (平成10年6月〜10年11月31日) | |
委 員 館 | 植松 貞夫 | 図書館情報大学附属図書館長(平成11年10月20日〜) |
藤野 幸雄 | 同 上 (平成10年6月〜11年10月19日) | |
西澤 輝泰 | 新潟大学附属図書館長(平成12年11月1日〜) | |
大熊 孝 | 同 上 (平成10年6月〜12年10月31日) | |
川北 稔 | 大阪大学附属図書館長 (平成13年6月〜) | |
西原 浩 | 同 上 (平成10年6月〜13年3月31日) |
2. ワーキンググループ
主 査 | 大埜 浩一 | 東京工業大学附属図書館事務部長(平成12年4月1日〜) |
高野 茂 | 同 上 (平成11年4月1日〜12年3月31日) | |
若月 修 | 同 上 (平成10年6月〜11年3月31日) | |
委 員 | 田中 成直 | 図書館情報大学図書館情報課長(平成13年4月1日〜) |
大場 秀穂 | 愛媛大学附属図書館情報管理課長(平成13年4月1日〜) | |
図書館情報大学図書館情報課長(平成10年6月〜13年3月31日) | ||
山下 洋一 | 東京大学附属図書館総務課長(平成12年4月1日〜) | |
伊藤 祐三 | 同 上情報管理課長(平成10年6月〜12年3月31日) | |
塚田 吉彦 | 東京工業大学附属図書館情報管理課長(平成12年4月1日〜) | |
香川 一郎 | 同 上 (平成10年6月〜11年3月31日) | |
益田 義孝 | 同 上情報サービス課長(平成12年4月1日〜) | |
同 上情報管理課長(平成11年4月1日〜12年3月31日) | ||
藤森 末雄 | 一橋大学附属図書館情報管理課長(平成10年6月〜平成12年3月31日) | |
金原 貴洋 | 同 上 (平成12年4月1日〜) | |
東京工業大学附属図書館情報サービス課長(平成10年6月〜12年3月31日) | ||
野澤 稔 | 新潟大学附属図書館情報サービス課長 (平成13年4月1日〜) | |
松藤 典生 | 鳥取大学附属図書館情報管理課長(平成13年4月1日〜) | |
新潟大学附属図書館情報サービス課長(平成10年6月〜13年3月31日) | ||
藤井 明 | 大阪大学附属図書館医学情報課長(平成12年4月1日〜) | |
末次 驍 | 同 上 (平成10年6月〜12年3月31日) | |
オブザーバー | 千代 由利 | 国立国会図書館専門資料部主任司書(平成10年6月〜) |
委員会は,各大学の実情等を調査して問題の所在を整理した内容を中間報告としてまとめ平成12年6月に公表したのち,最終的には具体的に必要で実行可能な対策を提言することを目標として議論を行った。具体的には,分担収集と保存・提供機能の必要性は十分に認識されていながら何らかの理由から実現してこなかったのであろうという認識に立ち,(1)従来のネックを列挙し,(2)それがなぜネックなのか,(3)そして 対応策として何を講ずべきであるか,という観点から整理を進めたものである。
1.一次情報の分担収集
大学や大学図書館内に多くの克服すべき関連課題が存在していることが確認でき,また一方で予算確保の見通しがかなり困難な情勢であることなどから,現段階で実際に分担収集に着手するには条件整備が不十分であると結論するに至った。収集範囲の合意など,基本的な構想内容について研究者を交えて検討すべき課題も存在している。報告書は,これらのネックを取り除くためのポイントを指摘することが中心となっており、係る各種の条件が整わない限り,実行に移せないと思われる。大学内で準備すべき事項も少なくなく,その改善も容易ではないので,計画的かつ体系的な準備を進めるべきであろう。
2.一次情報の保存・提供センター機能
過去にまとめられた協議会の報告書でも主要な要件等は指摘済みでもあり,また,具体的な施設が概算要求の形で現に提案されていることもあり,理想的で網羅的なサービスもさることながら,最小限の施設整備からでも着手し,早急のサービス開始を実現できることが当面焦眉の急であると判断し,概算要求内容の早期実現を提案した。大学側での拠出資料選定等の準備も必要である。なお,以後の段階的な拡大策についても,優先順位をまとめた。
3.上記2点に関する国立国会図書館,JSTなど,他機関との役割分担
(1)収集分担においては,国立大学側の方針が定まらない現状では協議に臨めないこと,また先方の機関でも明確な方針が定まっていない状態と考えられるために,具体的な検討には至らなかった。
(2)保存図書館機能については,今回の検討期間中には大学図書館の期待に応えられるような段階に至っていないようであり,協議に入ることは避けた。
(3)どちらについても,ナショナル・プランの責任主体あるいは,検討の場が不明確であることを指摘できよう。