第9章 国立大学図書館協議会の取り組み

国立大学図書館協議会は、「国立大学図書館の振興をはかり、大学の使命達成に寄与するとともに、広く図書館活動に貢献」(国立大学図書館協議会会則第5条)するために、その時々の大学図書館が直面する課題に、様々なレベルで取り組んできた。

1.総会分科会

 毎年の総会時に、当面する課題について各地区から協議題として提出された事項について、「予算・人事」と「運営・サービス」の2つの分科会(昭和58年度までは「予算」「運営・サービス」「人事」の3つ)で検討を行ってきた。
 「予算」に関する分科会では、「図書費」と「図書館維持費」の増額が一貫して協議題として取り上げられている。以前は「夜間、休日等の手当てと体制」が取り上げられたこともあるが、文部省の施策として時間外開館の経費が保証されたこともあって、最近ではほとんど取り上げられなくなっている。
 一方、昭和50年代後半から「電算化」に関する経費や要員に関する協議題が増え、さらに「電算化」から「学術情報システム(ネットワークを含む)」に関する協議題へとシフトしていっている。これはその時々に問題になっていた事項はなにか、ということを反映している。また、かつては「定員増」についての協議題が圧倒的に多かったが、次第に「定員削減への対応」へと移り、さらに「業務の合理化」や「組織の再編成」へと変わってきている。
 「運営・サービス」に関する分科会では、かなりバラエティに富んだ協議題が取り上げられてきたが、「ILL」や「文献複写」に関する事項は常に話題として取り上げられている。「学術情報センター」が発足するまではその設置についての協議題が続いた。
 近年は、「電子図書館」や「電子的資料」に関する協議題が目立ってきており、大学図書館におけるこのテーマの重要性が窺える。

2.研究集会

 国立大学図書館協議会では、総会の際に分科会と並んで研究集会を実施してきた。その運営方法は、大学図書館の具体的取り組みの発表であったり、有識者の講演であったり、時期によって変化してきた。
 テーマについてみると、昭和40年代半ばには「新しい大学図書館像」についての発表が続いたが、昭和50年代半ば頃になると「学術情報システム」が取り上げられるようになってきた。
 平成に入ると「図書館活動における創意・工夫」や「大学図書館機能の新たな展開」というテーマのもとに、各大学図書館での新しいサービスの事例報告が行われている。とくに最近では、電子図書館的機能に関する事例や、情報リテラシー教育への取り組みについての事例が多くなっている。

3.調査研究班・特別委員会

 国立大学図書館協議会の会則によれば、「特定の事項を審議する必要があるときは、特別委員会」(会則第18条)を、「協議会の事業に関係のある事項を調査研究するため、調査研究班」(会則第20条)を設置することができるようになっている。
 これまで協議会では、大学図書館が直面する課題のうち継続的に審議したり、調査研究する必要があると認められた事項について、特別委員会や調査研究班を設置して問題を検討してきた。
 とくに総会の分科会などで取り上げられた協議題のうち、継続的に検討を要するものについては特別委員会や調査研究班を設置して取り組んできた。
 国立大学図書館協議会発足の頃は、「司書職制度」や「図書館建築」、「機械化」などについて調査研究を行い報告書を刊行している。
 平成に入ってからは「図書館建築基準」や「保存図書館」などについて検討を行っているが、「著作権」や「情報システム」(電算化システム、ILLシステム、目録システムを含む)などについては、特別委員会や調査研究班の名称の変更はあるが、一貫して検討を行ってきている。
 現在は以下の5つの特別委員会が平成10年度から設置されている。  なお、平成以降の特別委員会・調査研究班による報告書は以下のとおりである。

(1)資料の収集・保存に関する報告書

(2)サービスに関する報告書 (3)職員に関する報告書 (4)施設に関する報告書 (5)ILLに関する報告書 (6)電算化・電子化に関する報告書 (7)目録システムに関する報告書 (8)著作権に関する報告書 (9)その他


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