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著作権の管理
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”大学の中核的使命とは、知識を深め、その普及を図ることです。 これを目的として、大学関係者が建設的な方法で権利の再配分をおこなえば、 著作権を保護することができます。これは、「著作権は科学および有益な技術の発展を 推進するものでなければならない」と定めた憲法の規定に貢献するものです。”

大学における新しい著作物の所有権:権利の分割および 高等学習の追求(CSY, SUNY, CUNY, 1997年)

 

著作権を管理する目的

オプションと勧告

どこから始めるか?

参考文献

著作権を管理する目的

著作権を適切な方法で管理することにより、教育システムの価値を大きく 高めることができます。著作権に関する決定は:

  • 急速に変化を続ける技術的な環境において、教育、学習、研究をおこなううえでの 最大限の自由と柔軟性を、教員ほかに提供することができます。
  • 大学を強化し、教職員ほかが教育、学習、研究に関する希望を実現できるような 教育機関にすることができます。
  • 著作権で保護された資料を、制約が少ない方法で教育、学習、研究などで 利用できるようにし、それによって憲法に定められた著作権法の目的(学習の奨励)に 貢献することができます。

教育の基本的な目標は、知識の創出と共有です。知的所有権の既存市場では、 著作者の権利と利用者の権利との間で強力かつ生産的なバランスを図ること( これが著作権法の目的である)により、これが達成されることが多くなっています。 比較的大きな市場で強い競争力が作用する場合は、これが一般的です。教科書、一般書、 想像的な文芸作品を出版する場合や、ソフトウェアや教育用ソフトウェアを創作する場合が これにあてはまります。

一方、著作者にとって商業的な利益となる競争力の弱い小さな市場では、 知識を効果的に共有するのが困難です。これがあてはまるのは、対象となる読者が比較的少なく、 出版販路も限られている専門的な学術書や学術誌の出版です。特に学術誌に掲載される論文の場合、 著作者は出版者の権威と引き換えに権利の所有権を放棄するのが一般的になっています。 このようにして権利を放棄する著作者は、教育、学習、研究の分野における大手出版社にとって 自分の著作権にどれ位の価値があるかを知らないことが多いのです。

このため、出版者は著作者の著作物の使用を自由に管理することができます。 また、非営利的な教育目的で著作物が使用される場合でも、多額の料金やその他の負担を 課すことがあります。自分の著作物がどのように使われるかを決めるうえで、著作者に 発言権があるのは稀です。

オプションと勧告

著作権法では、著作権によって保護される著作物の創作者に、以下のような 独占的な権利を与えています。

  • 印刷またはその他の媒体で著作物を出版する権利
  • 著作物を複製する権利(たとえばコピーによって)
  • 翻訳版やその他の派生版を作る権利
  • 以上の権利を他人が行使することを許可する権利

これらの権利は分割したり、他人に譲渡したりすることができます。 したがって、著作権者はこうした権利の全部または一部を出版者に譲渡することも できるわけです。著作権者はまた、所有権を保持したままで、一部の権利の行使に 関するライセンスを他人に与えることもできます。著作権のライセンスには、 独占的なものもあれば非独占的なものもあります。また、期限の定められているものも あれば、著作権の全期間にわたって有効なものもあります。ロイヤルティの支払い義務が あるものとないものもあります。対象となる媒体が1種類のものもあれば、 多数のものもあります。また、その他の制限が課せられることもあります。

著作権者が、自分の著作権を管理する方法には、次の三つのオプションが あります。

オプション1:

出版と引き換えに著作権の所有権を出版者に譲渡するというこれまでの慣行に したがう。

オプション2:

特定の権利を留保しながら(たとえばある本のなかで評論を再発表する権利、 教育目的で資料をコピーする権利など)、著作権の所有権を出版者に譲渡する。

オプション3:

著作権の所有権を保持しながら、業務上必要となる権利のライセンスを 出版者に与える。

オプション 1

これは一般的オプションですが、これを採用した場合、出版者は、 (著作者に相談することさえなく)著作権で保護された著作物の再版や教育目的での 使用を禁じたり、その使用にあたって多額の料金を課したりすることができます。 したがって、このオプションはあまり勧められません。

オプション 2

2番目のオプションを採用するうえでの難点は、自分の著作物について、 将来どのようなことがしたくなるのかを、著作者があらかじめ予想しておかなければ ならないことです。情報技術によって出版や教育の形態が変化していくと、この予想は さらに難しくなります。

オプション 3

出版社に対する著作権の譲渡はおこなわずに、初版の出版(印刷形式、デジタル形式、 またはその他の形式)に関する独占的なライセンスと、以下に関する非独占的な権利のみを 出版者に与えるようにする。そうすれば、著作権者は、自分の著作物や同じような考え方 をする同僚の著作物を自由に使用することができます。

  • 著作物の再版
  • フォーマットを変えた出版(たとえば、印刷形式からマイクロフィルムや デジタル形式に変えること)
  • ドキュメントデリバリーサービスをとおした頒布
  • 教材としての再版

著作権者は、以下を目的として、出版者に非独占的なライセンスを与えることが 多いのですが、与えないこともあります。

  • 派生的な作品(たとえば翻訳やマルチメディア用の作品)の創作
  • 文芸作品、音楽作品、劇作品、演出作品、映画、およびその他の視聴覚作品の 公演や展示

独占的および非独占的な権利の譲渡は、期限付きにすることもできます。 著作権者が独占的なライセンスを初版に限定したり、非独占的な権利を再版や派生的な 作品の創作に限定したりすることを、希望するような状況もあり得ます。あるいは、 通常は非独占的なライセンスのもとでおこなわれる活動に対して、期限付きの 独占的なライセンスを与えたいと希望することもあります(たとえば、著作権者が 印刷物の出版と頒布に関する独占的な権利の期限を1年に限定して譲渡し、 その後は著作物を別途自由に出版することができるようにするなど)。

また、著作権を保持する著作権者は、読者が明示的な許可なしに行使することの できる権利を限定的に与えることもできます。この権利には、非営利的な教育目的で 著作者の著作物を使用することなどがあります。
上記に鑑み、次の4つを勧告する ことができます。

  1. 著作者は、著作権法に基づく自分の権利をすべて保持すること。 これは、上に述べた価値を高めるうえで必要不可欠です。

  2. 初版の出版に関するライセンスは出版者に与え、一流の出版社から出版を おこなうことによって著作者の利益を確保すると同時に、出版者が営業上の利益を上げる ことにも協力すること。この初版の出版に関するライセンスは、著作物を出版前に 非公式な形で配布することを著作者に禁ずるものであってはなりません。これには、 個人のwebサイトにおける発表や、研究成果の速報を提供するために各分野で用いられている インターネット・リストでの発表などがあります。

  3. ほかの活動を対象として与える非独占的権利は、出版者の重要な副次的な ビジネス(たとえば著作物をアグリゲータに提供できるような)を可能にするものであると同時に、 ライセンスを与えた著作者にも、それがおこなえるようなものでなければなりません。 この代替的な行動手段に関する自由は、関係者全員が競争的で費用効率的な方法により 行動するという隠れたインセンティブを生み出すことにつながります。

  4. 著作者は、教育を推進し著作権の管理を簡素化する方法のひとつとして、 再使用権の包括的な付与をおこなうことができなければなりません。

上記の著作権の管理に関する記述は、イェール大学図書館長Scott Bennett氏に 協力いただいた。感謝申し上げる。

どこから始めるか

出版をおこなう市場の性格を見極め、自分をはじめ学界に最大の利益をもたらすような オプションを選ぶのは、著作者の責任です。

著作者が著作権を保持したまま、出版者に特定のライセンスを与える場合は、 出版者の出版契約書に代わる独自の契約書を用意する必要があります。 ここで忘れてならないのは、自分の著作物を複数の出版社の他の著作物と一緒に 統合・提供されることを前提に(少なくとも非独占的なベースで)必要な権利を、 出版者に与えなければならないことです(たとえば、BioOneやLexis-Nexisなど)。 出版者のなかには、こうした契約書をそのまま認めているところもあります。 同意書のサンプルを参照。

出版者が異議を唱えた場合、あるいは独自の契約書を作成するのが困難な場合は、 出版者が用意した著作権譲渡契約の規定を修正するよう試みなければなりません。 場合によっては、いくつかの言葉を変えたり(たとえば「独占的」を「非独占的」に変える)、 あるいは特定セクションの文言を変えたりするだけで十分なこともあります。 ほとんどの場合、出版者はこうした変更を受け入れています。 出版者の契約書のサンプルを参照。

出版者が変更を認めなかった場合は、出版者と話し合う機会を持つように しなければなりません。出版者がビジネスをおこなううえで必要な権利とは何でしょうか? 自分が保持することを望んだ権利は、出版者のビジネスにどのような影響を与えるのでしょうか? この問題に対処するには、どのような形で出版者と協力したらよいのでしょうか? この場合も、いくつかの変更を加えるだけで十分なことが多いようです。

出版者がどうしても意見を変えない場合は、自分のオプションを見なおす 必要があります。どうしてもその出版者から出版しなければならないのでしょうか。 適切な代案はないのでしょうか。代案がある場合は、著作物を出版者から引き取り、 その理由を伝えなければなりません。代案がない場合は、自分の著作物を研究活動や 教育活動で使用する権利、自分の作品集のなかにその著作物を含める権利、自分の著作物を webサイトに掲示する権利など、一部の権利を留保するよう試みなければなりません。 学術関連出版社の多くは、すでにこうした権利を認めています。権利の留保についてはこちらを参照。

ただし、これだけに留めてはならず、同僚にも著作権を保持するよう奨励する 必要があります。多くの著作者がこの権利を主張するようになれば、出版者もそれに耳を 傾けざるを得なくなるからです。

また、大学における討論のテーマとして、著作権の問題を提起するのもよいでしょう。 学術的な著作物の著作権を保持するよう勧告または要求している学内方針があれば、 契約の交渉に際して大きな力になるからです。本件については、ジョンズ・ホプキンス大学 公衆衛生大学院の方針を参照ください。

適切な方法で著作権を管理することは、学界が自分の著作物にアクセスできるよう にするうえでのひとつのステップです。これは、学術コミュニケーション・システムの 管理権を取り戻すうえでも重要なステップになり得ます。

以上、「著作権の管理」に盛り込まれた情報は参考情報に過ぎず、法律顧問の 意見に代わるものではありません。特定の契約について疑問がある場合は、必ず弁護士に 相談するようにしてください。

参考文献

米国大学教授連盟(American Association of University Professors) 遠隔教育と知的所有権の 問題に関する特別委員会(Special Committee on Distance Education and Intellectual Property Issues)

"著作者のライセンス((uthors' Licenses)" デジタル情報のライセンス(Licensing Digital Information)、LIBLICENSE.

Bachrach, S., et al., "科学論文の所有権は誰 にあるか(Who Should Own Scientific Papers?)" Science (Sept. 4, 1998):1459-1460.

Bennett, Scott. "著作者の権利(Author's Rights)" The Journal of Electronic Publishing (December 1999).

大学教育技術協会(Consortium for Educational Technology for University Systems) 大学における新しい著作物の所有権:権利の 分散および高等学習の追求(Ownership of New Works at the University: Unbundling of Rights and the Pursuit of Higher Learning). Seal Beach, CA: Trustees of California State University, 1997.

Hamilton, Marci A., 出版契約が必要なのはなぜか(Why a Model Author/Journal Agreement?) Association of American Law Schools, Special Committee. リンクあり: 出版契約モデル(Model Author/Journal Agreement)

Hodges, Wilfrid. 数学の著作権(Mathematical copyright) [web site maintained for the Committee on Electronic Information and Communication (CEIC) of the international Mathematical Union].

知的所有権および新しい メディア技術:AAUの方針策定に関する枠組み(Intellectual Property and New Media Technologies: A Framework for Policy Development at AAU Institutions) 知的所有権タスクフォースが1999年5月13日に作成した 「AAUのデジタル・ネットワークと知的所有権の管理委員会に関する報告書

 

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更新年月日:平成14年6月26日