はじめに


 平成8年に出された学術審議会の建議「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について」を受けて、国立大学図書館においても電子図書館的機能の整備を促進しているところである。その過程で各大学図書館が直面する共通の課題が明らかになりつつある。例えば、多言語資料を含めた目録所在情報の入力促進であり、電子的情報資料の収集であり、所蔵資料の電子化やそれに伴う著作権への対応である。

 特に、電子的情報資料の一形態である電子ジャーナルは、ここ数年の間に急速に増加しており、その導入に関する経費や契約に関する問題は、電子ジャーナル自体の発展に加え出版社の経営施策の新展開などにより、多くの課題をかかえている。

 またネットワーク情報資源の爆発的とも言える増大によって、インターネット上で展開されている学術情報の書誌的情報の記述に関するルールの確立も急務である。

 このような状況のもと、国立大学図書館協議会図書館電子化システム特別委員会は、平成10年度国立大学図書館協議会第45回総会において設置され、合計10の検討課題(後日9つにまとめた)を掲げ調査検討し、活動を行うことにより、幾多の成果をあげた。昨年度調査検討を終えた検討課題について第1、2年次報告として上程したところである。平成12年度は、残る検討課題について鋭意検討し、担当地区のワーキンググループの報告として、また最終年度の締めくくりとしてここに上程するものである。

 昨年度総会に報告した内容は、「電子的情報の地域的サービス体制(コンソーシアム)(九州地区)」「事務合理化・効率化を実現するための電子化に関する方策(東京地区)」「画像データの品質管理及び標準化について(近畿地区)」「電子ジャーナルについて(関東・東京地区)」である。

 残された「多言語、特に中国語、ハングル資料の目録情報処理における入出力インターフェース(近畿地区)」「目録記述におけるインターネット上の情報資源の記述法(近畿地区)」「テキストデータの充実及び国立大学図書館間の連携協力について(近畿地区)」「国立大学で生産しているコンテンツの共同利用について(近畿地区)」「資料電子化に伴う著作権処理について(近畿地区)」の5項目と、また引き続き検討し活動した「電子ジャーナルについて(関東・東京地区)」についてこの報告に盛り込んだ。


目次に戻る