3.阪神・淡路大震災における国立大学図書館の協力活動の調査


 阪神・淡路大震災の翌日の1月18日に、長崎で開催された国立大学図書館事務部長会議
は、さっそく救援について協議し、共同行動をとることを確認した。これを受けて、国立
大学図書館協議会では、被災状況の調査を行い、1月24日には、各国立大学図書館へ被害
状況の報告と支援協力の要請を行った。救援の連絡調整は、近畿地区連絡館である京都大
学が担当した。
 相互賃借業務については、1月24日から、学術情報センターのILLシステム上で、神
戸大学及び神戸商船大学の受付機能を停止した。
 大阪大学は自力で復旧を行ったが、被害の大きかった神戸大学及び神戸商船大学へは、
近畿地区の国立大学等が復旧支援に協力した。神戸大学では延べ5日間に11大学から45人、
神戸商船大学では延べ20日間に17大学から143人の図書館職員が作業にあたった。いずれ
の図書館においても、学生等のボランティアの協力もあり、書架の復旧と落下資料の再配
架を中心とした作業を精力的に行った。
 交通機関やライフラインの回復に時間がかかり、また、被災館では対応できる職員の多
くが自らも被災者となったため、迅速的確な受入体制をとることが困難な状況にあり、支
援協力は必ずしも円滑に運ばない面も見られた。
 国公私立大学図書館協力委員会は、「阪神大震災による被災のお見舞いと再興のための
ご協力のお願い」を1月27日頒布の『大学図書館協力ニュース』に折り込み、全国の国公
私立大学図書館に協力を要請した。
 また、1月24日に神戸大学理学部長から、1月30日に同じく学生部長から、帰省もしく
は自宅待機を余儀なくされている学生の図書館利用に関し、便宜供与の要請があった。こ
れを契機として、各国立大学図書館は、国公私立の別なく、被災大学の学生等の図書館利
用について特段の便宜供与を行い、おおむね4月頃まで継続した。とりわけ図書の貸出に
ついては、ゥ大学の学生と同様に取扱ったところも数多くあった。