図書館情報システム特別委員会ＩＬＬシステム専門委員会第２次報告: 付：指針（案）に対する意見

付：指針（案）に対する意見

　当指針（案）を作成するに当たり、指針の原案を全加盟館に配布し、意見を聴取した。
各館からのご意見を参考に指針（案）を作成した。意見のうち採用させていただいたもの
もあるが、全ての意見を反映させることはできなかった。ここに寄せられた主な意見を列
記するとともに、ご協力に深く感謝する。

（１）指針のあり方に対する意見
　①利用指針（案）の性格について
　　○（１）ILL サービスのあり方まで広く踏み込んだ指針とする方向　と　（２）
　　　　NACSIS-ILLシステムの利用に限定した指針とする方向　との二つの方向の中間を
　　　　採らざるをえないであろう。NACSIS-ILLシステムを利用してILL サービスを行う
　　　　場合の最小限必要な申し合わせ事項という位置付けであれば、概ねこれでよいと
　　　　思う。
　　○ILL システム参加組織のILL サービスについての理念或いはガイドラインにあたる
　　　　ものと、システム操作担当者の運用マニュアルとしての二種類の内容をもつもの
　　　　で、それぞれ対象者も作成手順も改訂方法も異なると思われるので分けた方がい
　　　　い。マニュアル的部分をこの指針より分離し、作成手順も含め検討してはどうか。
　　○この「指針」はILL システムの基本的な考え方や利用に際しての原則を規程するガ
　　　　イドライン、規約的性格をもつものと思われる。それであれば本来マニュアルで
　　　　触れるべき記述が混在している。
　　○規約的性格とするならば、１．趣旨　２．基本原則　の項目で明確なガイドライン
　　　　を示す方がいい。
　　○国立大学図書館間だけに限定せざるをえないところにこの指針の限界を感じる。

　②利用指針（案）の取り扱いについて
　　○この指針（案）の今後の取り扱いについて、国立大学図書館だけの「利用指針」に
　　　　とどめておくのか、大学図書館協力委員会等に働きかけて、国公私立大学図書館
　　　　共通の「利用指針」として合意形成を目指すのか、ＩＬＬシステム専門委員会と
　　　　しての考え方を提示してほしい。（国立大学図書館協議会事務局の意見）

（２）各項目に対する意見
　３（システム利用の推進）
　　○平素痛感しているので、もう少し強制力を持った提言にしてほしい。
　　○ILL を、マニュアルによらざるをえない小規模な分館の存在を理解してほしい。

　４（所蔵資料の公開）５（所蔵情報の更新）
　　○相互利用担当者と目録担当者とは別であり、目録担当の領域を侵す可能性のある記
　　　　述を規程することに疑問を感じる。

　６（学内体制の整備）
　　○物理的な資料の集中化は、言うは易く行うは難い。現実的な対応として、学内の所
　　　　蔵情報を把握し、実質的に利用できる状態をつくることでいいのではないか。
　　○「受付窓口の増加」とは、具体的には何を指すのか分かりにくい。
　　○ファクシミリで文献伝送を依頼する緊急な場合には、伝送の枚数制限が必要である。
　　○ファクシミリ送信は著作権法上の問題から、ここに「ファクシミリ等による緊急の
　　　　複写依頼に応じられる体制」と明記することには疑問を感じる。

　７（著作権）
　　○著作権をめぐって議論が続けられていると聞いているが、こうした状況をみると、
　　　　指針としてこの一行で喚起するだけですませるのは不十分ではないかと考える。
　　○著作権法の遵守はILL システム利用以前の問題であり、条文の３のあたりで規定す
　　　　べき内容である。

　９（２）（依頼対象資料）
　　○自大学内に存在する資料を他大学に依頼することは避けるべきではないか。
　　　［追加希望］
　　○現物に関しては、購入等により入手不可のものとする。
　　○当該年または前年に発行された新しい資料、もしくは出版書誌等の確認により比較
　　　　的容易に入手できる資料は、依頼の対象としない。

　９（５）（所蔵事項の典拠）
　　○NACSIS-CATのデータからレコードをつくる場合は、配置場所、請求記号はシステム
　　　　より自動的に入力されるが、多巻ものの書誌から作成されるレコードに対しては、
　　　　当該書誌レコードの先頭の巻に対応する配置場所等が入力される。必要資料が多
　　　　巻ものの２巻目以降の巻である場合、配置場所、請求記号等を修正するよう規定
　　　　してほしい。

　９（９）（照会への回答）
　　○受付館側は、照会に対する回答（ANSWER）が必要であるが、依頼館側にとっては
　　　　CANCELで済む場合もあり、処理が煩雑になる時がある。そのあたりの運用方法に
　　　　工夫が必要と思われる。
　　○「CLAIM」、「RENEW」に対しても、放置せずに迅速に対応する。

　９（１０）（所蔵館が１館のみの場合）
　　○一律には想定できないので、削除した方がよいのではないか。

　９（１１）（返送明細票の添付）
　　○現物を返送する際には、返送レコードが確認できるよう、必ず明細票を同封する。

　１０（６）（謝絶の理由）
　　○同一依頼館からの複数の受付分を謝絶する場合、最初のレコードだけではなく、全
　　　　てのレコードに謝絶理由を記入するよう規定するべきである。

　その他の意見
　　○現物の貸出期間を原則として２０日となるようとりきめられないか。
　　○現物貸借における送料の決済を資料返送時に行えるようにできないか。
　　○現物の貸借に当たっては、小包の表に「貸出」「返却」の表示を明記する。
　　○参加組織は、ILL システムに関わる職員がシステムに習熟するよう努める。
　　○依頼番号は必ず入力する。
　　○特定大学等の出版物（紀要等）は、原則として当該大学等に依頼する。