参考資料 5
    「スタンフォード大学図書館劣化図書プログラム(1982)」より

              保存用複写複製
概  要
 資料の複写は長年あたりまえのこととなっている。しかし、複写プロセスの技術の大幅
な改善とともに、コピーの永続性が期待できるようになったのは、最近8年から10年の間
のことである。今や、ゼロックス・コピーの永続性は使用される紙の永続性と耐用性によ
ってのみ影響されるとゼロックス研究所が述べるほど、その品質は優れたものになってい
る。こうして複写プロセスはそれが適している場合、保存のために資料を置き換える選択
肢として採用される。

基  準
 保存用複写複製のために制定された全国的基準は何もない。品質に関してローカルに確
立できる明らかな基準はある。中間の重さの永続/耐用紙が必須である。紙は劣化防止を
助けるために加えられた緩衝剤を含む脱酸性紙でなければならない。複写機は良好なコン
トラストと解明な再現が得られるよう、最適状態で維持されなければならない。製本が適
切であれば、コピーであってもオリジナルよりも永続させることができる。

定  義
 保存用ハードコピーとは、今にも失われてしまう危険のある資料の内容を保存するため
に作成される複写複製であり、通常は劣化した紙に対するものである。複写複製はオリジ
ナルまたはスタンフォード大学のいずれかの図書館が所蔵する同じ版から作成される。ハ
ードコピーは製本され、利用のために書架に戻される。

ガイドライン
 保存用ハードコピーの選択は、スタンフォード大学図書館では、Conservation 0ffice
との協力の下にビブリオグラファによって行われる。劣化の疑いのある資料はC0N という
ロケーションを付してConservation 0ffice に送られる。資料が実際に劣化している場合
は、スタンフォード大学の目録でそのタイトルを検索し、同じ版又は別の版を所蔵してい
るかどうかを確かめる。また、さまざまな販売、絶版、リプリント及びマイクロフィルム
目録が検索される。ビブリオグラファの決定を援助するため、全ての情報が彼/彼女のも
とに集められる。検索の後、保存用ハードコピーは資料置き換えの選択肢の一つとみなさ
れる。
 資料が保存用複写複製に適しているかどうかの決定を援助するために、いくつかのガイ
ドラインがある。
 1.ある資料がセットの一部である場合はハードコピーとの置き換えが適切である。
 2.その資料が利用頻度の高いものであればハードコピーが好ましい。
 3.最新のレファレンス資料はハードコピーに適している。
 4.詳細な注またはグラフィック資料への参照を要する資料はハードコピーに適してい
  る。
 5.保存すべき図版やグラフィック資料を含む資料はどれも複写複製に適している。

回  送
 複写複製が最も適した保存技法として選ばれると、その資料は保全スタッフによって準
備される。全ての欠落ページは他のソースからのコピーによって置き換えられるか、また
はページが欠落している旨を記したページが挿入される。その資料が最終的には廃棄され
る場合は、より鮮明なコピーを作成するため、製本はバラバラにされる。可能ならばいつ
でもオリジナルのフォーマットとサイズを保つ両面コピーが行われる。コピーの後、間違
いがないか、元の資料と念入りに照合される。新しいコピーは製本されるべく、製本仕上
げ部門に送られる。製本が終わり最終仕上げが行われると、保全部門はその旨知らされる。
それからオリジナルはその状態によって、廃棄されるかまたは寄贈・交換部門に送られる。
保全部門は廃棄/移籍手続きをとる。
 サイズ、フォーマットまたは目録に変更がなければ、コピーは目録カード上に変更を施
すことなく書架に戻される。変更が指示されている場合、コピーは方針及び手続きマニュ
アルに従って、製本仕上げ部門により回送される。
 著作権上の制約はすべて遵守される。