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学者・教員たちの主導権を取り戻す
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学者・教員はすべてこの範疇に含まれる

代替モデル

知的所有権の管理権を握る

あなたにできること

「一部の商業出版者は利益を上げることに熱心なあまり、 自由な知識の流れを制限してきた。そこで我々がなすべきことは、 乗っ取られた積荷を取り返し、それが再び略奪されないように守ることである」 :アリゾナ大学生態学・進化生物学教授 Michael Rosenzweig。 詳細はこちら

学者・教員たちは、かつて自分たちのものであった (そして自分たちのものであるべき)システムの管理権を失ってしまいました。 学術コミュニケーションは、学者・教員自身の手で学者・教員のためにおこなわれる べきものです。このシステムの設立と流通段階で経費を負担したのは大学のような 研究機関でした。しかし、現在では商業出版者がこのシステムを支配しており、 学者・教員や学生に必要な研究情報へのアクセスは、出版者の利益を守るために 制限されています。

学者・教員たちが学術コミュニケーションの主導権を 取り戻せるようにする上で、図書館員には何ができるのでしょうか? これにはいくつかの 戦略があります。

  • 学者・教員たちが大局的な物の見方を理解できるように支援をおこなう。 対象となるのは、あらゆる分野のあらゆる学者・教員です。
  • 学術コミュニケーションの主導権を取り戻すために、学者・教員たちが 専門分野や学界全体においてどのような活動ができるかを示す。
  • 学者・教員たちが出版されている学問を効率よく利用できるようにする。
  • 加盟している学協会や編集委員会の決定に対して直接的な影響力を 持つにはどうしたらよいかを、学者・教員たちに示す。
  • 学術コミュニケーションにおける競争を刺激するにはどうしたらよいかを、 学者・教員たちに示す。自分でもこうした活動を支援する。
  • より効果的に出版者と交渉するにはどうしたらよいかを、学者・教員たちに示す。



学者・教員はすべて この範疇に含まれる

無理からぬことですが、ほとんどの学者・教員は自分の専門分野に没頭して います。また、当然のこととして、自分自身の研究ニーズや学生のニーズに焦点をあてています。 素粒子物理学者にとっては、芸術史の学者や初等教育の研究者がおこなう活動について話すのは、 たとえ同じ教授会に所属しているとしても、非常に難しいことでしょう。

また、非公式な コミュニケーションの手段が高度に発展している分野もあります。こうした分野の学者・教員の 多くは、自分の分野における研究活動は、電子的な手段によって十分追跡できると考えています。 しかし、これがあてはまらない学者・教員や学生が多いのも事実であり、彼らは依然として 出版された文献へのアクセスに依存しています。

このような違いは、一部の教員における学術コミュニケーションの危機にも あてはまります。自分の研究活動にとって単行書が重要でない学者・教員は、単行書の蔵書が 減ってもさほど影響はないと考えています。また、人文科学者や社会科学者は、自分の専門分野の 参考文献が少なくなっている原因を、雑誌依存型の自然科学分野における極端なコストの 上昇にあると捉えがちです。

物事を長期的に捉えるためには、すべての学者・教員には共通の利害があることを 認識する必要があるでしょう。学者・教員と学生を含めた学界は、すべてこの範疇に含まれます。

ある理由から、研究用資料のコスト上昇は、自然科学を超えて雑誌依存型の 社会科学にまで広がっています。人類学、経営学、経済学、教育学、地理学、政治学、心理学、 社会学などです。そして、システムの一部における問題は、そのシステムの残りの部分にも 当然影響を与えます。学術誌のコストが上がれば、その学術誌が解約されるだけでなく、 それ以外の受入予算も削減されることになります。また、我々は学際領域の研究に固有の 創造性を十分経験しているため、次はどこと協力することになるかが分からないことを 理解するようになっています。学術コミュニケーション・システム全体をできる限り健全な 状態に保つことは、関係者全員にとってたいへん重要なことです。

化学者から 芸術史学者に至るまで、さまざまな学者・教員に資料を提供することに力を注いでいる図書館員は、 学術的な出版をひとつの総合的なシステムとして捉えています。図書館員の任務は 資料不足に対処し、必要な研究文献に誰もが公平にアクセスできるようにすることです。



代替モデル

「このまま手をこまねいていれば、この危機のために学問と教育が 大きなダメージを受けることになるだろう。したがって、問題を根本的に解決できる方法を 考え出す必要がある」:カンザス大学副学長David Shulenburger。 詳細はこちら。    

どのような危機についても言えるのは、そこから脱却する道(現状の代替策) はありそうにもないと思えることです。

カンザス大学副学長David Shulenburgerと ロチェスター大学副学長Charles Phelpsは、最近2つの代替策を提案しています。     

Shulenburger副学長は、NEAR(全国電子論文保管所)の設立によって学術誌の 危機を解決することを提案しました。これは大学の著作物を中央集中化するサーバーで、 誰でも利用することができるものです。この提案によると、著作者の著作物は 発表後NEARに集められることになるため、出版者は学術的な出版プロセスの価値を再評価し、 それに応じて価格を下げざるを得なくなります。詳細はこちら

Phelps副学長はShulenburger副学長の案を補足する提案をしています。 Phelps副学長の提案は、学術誌出版システムが現在果たしている役割を分割し、 ピアレビュー・プロセスと出版プロセスの間のリンクを断ち切ろうというものです。 出版社の多くは、価格設定においてこのリンクを悪用しているからです。Phelps副学長は、 発表された原稿のピアレビュー費用を学会に支払えば、出版や頒布といった機能は 別の実体に委ねることができるとしています。たとえば、分野系または大学系のサーバーです。 詳細はこちら

これ以外にも次のような代替モデルがあります。

  • ひとつは、SPARC(学術出版・学術資源連合)によるものです。 SPARCでは、市場力を導入する手段として、競争力のあるオンライン・ジャーナルに メンバー拠出型のインセンティブを提供し、競争を促すとしています。詳細はこちら

  • ロスアラモス国立研究所のサーバーに格納された高エネルギー物理学の オンライン・プレプリント・モデルを利用した学者・教員の多くは、出版者の介入を受けずに 同僚と自由に意見交換をおこなえるようにするための電子的な手段の確立を促しています。 たとえば、オープン・アーカイブ・イニシアチブでは、 こうした意見交換の手段を提供するとしています。

  • 一方、国立衛生研究所はPubMed Centralを設けています。これにより、 出版者やその他の独立系組織は、ライフサイエンスに関する論文や報告を、誰でも自由に 利用できる中央オンライン・システムに寄託することができます。 詳細はこちら


知的所有権の管理権を握る

コミュニケーション・システムの主導権が学者から出版者に移った重要な領域の ひとつに、知的所有権があります。出版者の多くは、著作者が署名する契約書に著作権の 排他的な譲渡規定を盛り込んでいます。このような場合は、著作者がリプリントを同僚に 送ったり、教室でコピーを配ったり、自分の著作物を授業で使ったり、自らのwebサイトに 掲示したり、初版を更新したりするためには、出版者の許可を求めなければなりません。 場合によってはロイヤルティを支払わなければならないことさえあります。

   学者・教員による知的成果の所有権は、商業出版者に莫大な利益をもたらしています。 このため、出版者のなかには、電子的方法による公正な使用さえ認めないような強力な 所有権を求めてロビー活動をおこなうものもあります。

学者・教員には、自分が 創作した著作物についてどのような権利があるのでしょうか。

  • 一般に、学者・教員が学術的な著作物を創作した場合は、自動的に その著作権を持つことになります。
  • 著作権には一連の権利が含まれます。学者・教員は、自分の権利の全部 または一部を保持するための交渉をおこなうことができます。また、非独占的な一部の 権利については出版者に使用許諾を与えながら、著作権を保持することもできます。
  • 学者・教員は出版に際して著作権を放棄する必要はないのですが、 ひとりひとりの学者・教員には、出版者に契約書の規定を変えさせる力のないことが 多いのも事実です。
  • 一部の法律専門家は、著作権法に定められた「雇用契約のもとでの著作物」 という原則にしたがい、大学は学内のあらゆる著作物の所有権を主張できるとしています。 しかし、ほとんどの高等教育機関では、単行書、雑誌論文、教科書など伝統的な学術的著作物の 所有権を主張してきませんでした。高等教育機関が権利を主張するのは、大学の重要な資源が 著作に用いられる場合に限られていました(ソフトウェア、教育用ソフトウェア)。
  • 大学は、教員に学術著作物の著作権の管理方法を指導する上で、より積極的な 役割を果たせるはずです(たとえば、雑誌論文を掲載する際に特定の権利を保持しておくよう 助言または要求すること)。著作権の管理権を取り戻すことは、学術コミュニケーションの 主導権を取り戻す方法のひとつです。
  • 多くの大学では、現在、知的所有権に関する方針の見なおしや改正に 取組んでいます。その主な理由は、デジタル・メディアに対して巨額な投資をおこなったことです。 あらゆる形の学術的な著作物を対象として見なおしがおこなわれるようにするため、 図書館員と学者・教員はこの協議に積極的に参加すべきです。

著作権の管理権を取り戻すことは、学術コミュニケーションの主導権を 取り戻す方法のひとつでもあります。 ここをクリックしてください。


自分にできること

   どのようなシステムの場合でも、伝統やルールが深く浸透しているために変えるのは 不可能だと思われることがあります。しかし、学術コミュニケーションのシステムは 変えることができます。そこで重要な役割を果たすのはひとりひとりの学者・教員です。 そして、図書館員はこれを支援することができます。

それでは、ひとりひとりの 学者・教員に何ができるのでしょうか?図書館員はどのようにして支援したらよいのでしょうか?

学者・教員には、著者・査読者・編集者として次のことができます。

  • 適切だと判断される場合に自分の著作物を使用する権利(公開アーカイブへの 掲示を含む)を確保するために、商業出版者との契約を修正すること。
  • 納得のいく価格設定をしている優れた学術誌に投稿すること。 可能な場合は、SPARCの支援する学術誌に投稿すること。
  • 著作者、査読者、または編集者として、自分が投稿する営利的な学術誌の 価格設定、著作権、使用許諾に関する契約書を調べること。
  • 価格が不当に高い学術誌のために評価をおこなうことや、その編集委員会に 加わることを拒否することにより、自分の影響力を行使してみること。
  • 自分があまりにも高額な学術誌の編集者である場合は、該当する契約規定に したがい、発行元を非営利出版者に変えること、あるいはそこの編集者を辞任して合理的な 価格を設定している別の出版者と提携すること。

また、大学では次のことをおこなうことができます。

  • 大学および学部内で、学術コミュニケーションの問題や改革のための 提案に関する協議を奨励すること。
  • 終身在職権に関する協議と決定では、電子的な出版物も考慮に入れられるように すること。
  • 地元の大学の知的所有権に関する方針を調べ、その策定に参加すること。

図書館の利用者としての学者・教員には以下が奨励されます。

  • 図書館が利用率の低い学術誌を解約することを支援し、同僚にもそれを奨励すること。
  • 学術コミュニケーションの問題について話し合う学科会議や大学院のセミナーに、 図書館を招待すること。
  • 出版社の代表者との会議には、図書館員も参加させること。
  • コーネル大学やウィスコンシン大学が実施しているものをはじめ、 学術誌に関する「費用対効果」の調査について理解を深めること。
  • LibraryOsのSPARC(Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition ) への参加を支持すること。

学協会の会員としては次をおこなうことができます。

  • 投稿、評価、編集委員会への参加などにより、所属する学協会の 電子出版プログラムを奨励すること。
  • 商業出版者との契約や原稿売却に関する代案を探るよう、学協会に奨励すること。
  • 出版物の合理的な価格を維持し、大学やその他の利用者がアクセスしやすい条件を 定めるよう、学協会に奨励すること。
  • 高額な営利出版に対抗できる手段を探ることを、学協会に奨励すること。

以上を実現することにより、学者・教員は学術コミュニケーションの主導権を 取り戻すことができます!そして、図書館員はそれを支援することができるのです!

 

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Create Change(米国) の後援は:

研究図書館協会(Association of Research Libraries), 大学・研究図書館協会(Association of College and Research Libraries),及び学術出版・学術資源連合(SPARC) によって行われ、 Gladys Krieble Delmas基金(Gladys Krieble Delmas Foundation) からの支援を得ています。

管理:国立大学図書館協議会事務局
デザイン:Kevin Osborn, Research & Design, Ltd.
更新年月日:平成14年6月26日