外国雑誌センター館について

  背景
  学術情報システムとセンター館
  資料収集・提供サービス
  運営

背景


 昭和48(1973)年10月、「学術振興に関する当面の基本的な施策について」(学術審議会答申)において、1960年代から我が国の高等教育、学術研究の進展が顕著になる中で、学術情報の流通体制の改善が指摘された。外国雑誌センター館構想は、こうした動きと大学図書館からの要望等を背景として、学術情報の基盤となる一次資料とりわけ学術雑誌を安定的・普遍的に確保するために、文部省が、昭和52(1977)年度に「自然科学系外国雑誌購入費」を国立大学に措置したことを嚆矢とする。
  文部省はこの措置に際し、「外国雑誌を学内及び学外で共同利用すること」が目的であるとし、図書館サービスの一層の改善を求めている。
本予算は、学内共同利用(第1種)、地域共同利用(第2種)、全国共同利用(第3種)という利用目的別に配分され、全国及び地域共同利用の指定を受けた5館が拠点図書館となり、指定された分野別の収集が開始された。    

学術情報システムとセンター館


 一方、昭和55(1980)年1月には、「今後における学術情報システムの在り方について」(学術審議会答申)において、一次資料の収集・提供機能の充実及び分野別拠点図書館の拡大・充実の必要性が指摘され、また、同年3月には、「学術情報システムに関する答申において示された拠点図書館について」(文部省学術国際局長通知)が発せられ、国の施策としてのセンター館の位置づけと役割が明確になった。
 センター館発足当初は、医学・生物学系が大阪大学附属図書館中之島分館(現:大阪大学生命科学図書館)、東北大学附属図書館医学分館、九州大学附属図書館医学部分館(現:九州大学医学図書館)、理工学系が東京工業大学附属図書館、農学系が東京大学農学部図書館(現:東京大学農学生命科学図書館)、鹿児島大学附属図書館の3分野6館体制であったが、貿易赤字解消のためのいわゆるドル減らし政策も追い風となり、昭和60(1985)年度には一橋大学附属図書館が社会科学系に、翌61(1986)年度には神戸大学附属図書館が教育・心理学を含む人文・社会科学系のセンター館に各々指定された。また、昭和62(1987)年度には理工学系の一層の充実を図るために、京都大学附属図書館が指定を受けたことにより一応の制度整備が完了し、現在はこの4分野9館が外国雑誌センター館として活動している。

資料収集・提供サービス



外国雑誌センター館における外国雑誌の収集方針は、当初、
  (1)全国的観点から体系的網羅的収集を図ること
  (2)国内で欠落している外国雑誌とすること
  (3)当該分野の主要な二次資料に収載されている一次情報学術雑誌とすること
などを原則とした。
 昭和58(1983)年11月には、境界領域や重複の調整のために、「自然科学系外国雑誌センター館主題分担基準」を策定した。また、昭和61(1986)年度から4か年計画で自然科学系の第2期整備も行われた。平成13(2001)年7月には、「外国雑誌センター館資料収集方針」を申し合わせ、予算の減少や雑誌原価の恒常的な値上がり等の厳しい状況の中で、より効率的・効果的な収集を図っている。
 収集した雑誌は、その書誌・所蔵情報をNACSIS-CATに登録し、国内外の利用に供している。ちなみに、平成16(2004)年度のNACSIS-ILLの利用統計(文献複写)によると、センター館の受付件数は総受付件数の11.4%を、国立大学の総受付件数の21.2%を占め、センター館がILLサービスにおいても中核的な存在となっていることがわかる。

運営


 センター館の運営上の諸問題を検討するために、昭和53(1978)年8月に、拠点図書館の最初の自主的な会合(文部省出席)が開かれ、続いて昭和54(1979)年7月には、文部省招集による第1回拠点図書館会議が開催された。現在、センター館の運営は、平成13(2001)年7月制定の「外国雑誌センター館運営基本方針」に基づいて行われている。国立大学の法人化後も、年1回、センター館会議を開催し、文部科学省の助言を仰ぎつつ、諸課題の解決に取り組んでいる。また、各分野のメインセンター館から成る幹事会を設け、センター館会議までの実務を担当し、かつ、センター館間の連絡調整を行っている。平成13(2001)年度には、センター館ホームページを開設し、新規購入予定雑誌、各館の活動状況等の広報に努めている。
 今後は、国立大学の法人化とそれに伴う財政の緊縮化、電子化の急速な進展を背景にした「学術情報基盤の今後の在り方について」(平成18(2006)年3月 科学技術・学術審議会報告)を踏まえつつ、かつ現在行っている「レア・ジャーナルの収集」及び「文献複写サービスの提供」の二つの機能についての評価を活動に反映させ、さらなる充実・展開を図ることが求められている。

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