参考資料 6
    「スタンフォード大学図書館劣化図書プログラム(1982)」より

            保存用マイクロフィルム化

 保存用マイクロフィルム化は1930年代に、議会図書館、ニューヨーク公共図書館及びハ
ーバード大学図書館により公式のプロジェクトとして最初に着手された。16mm及び35mmの
白黒のハロゲン化銀フィルムが、適切な使用・保管条件下での永続性の点で受け入れるこ
とができることが明らかになった。35mmフィルムの方があらゆるサイズの資料のイメージ
の解像度と縮小率の点で最も優れているので好まれ、利用者にとっても一番読み易い。

基  準
 フィルムの物理的な品質、フィルムの撮影及び現像に対する明確な基準がANSIによ
って制定された。さらに、議会図書館、全米マイクログラフィックス協会及び米国図書館
協会はページの配列、照準、書誌的情報及び保管に関する基準を制定した。

定  義
 保存用マイクロフィルム化とは、今にも失われてしまう危険のある資料の内容を保存す
るために行われるマイクロフィルム化であり、通常は劣化した紙に対するものである。フ
ィルムはオリジナルのテキストから作成され、別のマイクロフィルムからのコピーではな
い。保存用マスターはオリジナルから作成できるコピーの数を制限し、限られたアクセス
とコントロールされた環境の中で保管されなければならない。議会図書館はマスターの使
用を1回に限っている。大部分の研究図書館は4回の使用を上限としている。保存用マス
ターは利用のためのコピーではない。NRMMによれば、保存用マスターは非営利組織に
よってのみ保有される。
 他方、マスター・マイクロフィルムは売るためにのみ作成されるものである。

ガイドライン
 保存用マイクロフィルム化の選択は、スタンフォード大学図書館では Conservation
0ffice との協力の下にビブリオグラファによって行われる。劣化の疑いのある資料は
C0N というロケーションを付してConservation 0ffice に送られる。紙が劣化している場
合はスタンフォード大学の目録やその他のソースで、その資料を検索し、同じ版または別
の版を所蔵しているかどうか、また、リプリントや公開もしくは絶版市場で入手できない
か、あるいはどこかでマイクロフィルムとして購入できないかが確かめられる。マイクロ
フィルムの購入は、スタンフォード大学は喜んで誰か他の者が保存用マスターを保持する
ことを認めていることを示す。共同マイクロフィルム化については議会図書館、ニューヨ
ーク公共図書館、RLG及びARLによって唱導された努力を支持する。検索の後、マイ
クロフィルム化は資料置き換えの選択肢の一つとみなされる。
 特定の資料がマイクロフィルム化に適しているかどうかの決定を援助するために、いく
つかのガイドラインがある。
 1.その資料がスタンフォード大学のみにあり、あるいはその内容がスタンフォード大
  学のコレクションにとって非常に重要であり、置き換えのコピーを得ることが困難か
  不可能である場合、保存用マスターは損失に対する予防策である。このマスターから、
  利用のためのコピーが作成され、求めに応じてハードコピーが作成され、ILLから
  の要求が処理される。
 2.その資料が利用頻度は低いがコレクションにとってまだ重要なものであれば、マイ
  クロフイルム化はよい選択肢である。
 3.利用頻度が高くなければ、逐次刊行物または劣化しつつある新聞はマイクロフィル
  ム化に適している。(新聞の場合、マイクロフィルム化は現在のところ採用し得る唯
  一の選択肢支である。)
 4.その資料が劣化しており、利用も少なく、スペースが問題である場合には、保存用
  マイクロフィルム化はよい選択肢である。
 5.ある資料が稀少なものである場合、マイクロフィルム化は全国的保存及び書誌的記
  録に対する貢献として適している。

回  送
 マイクロフィルム化が最も適した保存技法として選ばれると、その資料は保全スタッフ
によってフィルム化の準備がされる。全ページが完全に揃っているかどうかチェックされ
る。もし、どれかが欠けていれば他のソースからのコピーが入手され、代わりに挿入され
る。欠落したテキストが入手できない場合はその旨の注記が適当な箇所に挿入される。
 その資料は、現在のところ、スタンフォード大学図書館の全てのマイクロフィルムを作
成している外部の業者に送られる。業者は議会図書館の基準とともにANSIの基準に従
う。フィルムはスタンフォード大学に戻される前に、密度、鮮明度及びエラーが検査され
る。フィルムは脱酸性の箱に保管され、適当な書誌情報があれば記される。フィルムが図
書館に戻されると、保全スタッフによってチェックされ回送される。
 保存用マスターは方針及び手順マニュアルにある回送の指示に従って、最初に閲覧用の
コピーとともに整理部門に送られる。目録部門はフォーマット変更に対する書誌レコード
を作成し、目録が作成されていない資料については目録を作成する。彼らはNRMMに情
報を提供する。保存用マスターは、次に、コントロール・ナンバーを与え、目録ファイル
を維持し、コントロールされた保管場所に送り、コピーまたは第2次生成マスターに対す
る要求を処理する管理部門に送られる。閲覧用のコピーはカレント雑誌及びマイクロテキ
スト部門に送られる。オリジナルはマイクロフィルム化が完了するまで、Conservation
0fficeによって保有される。それからオリジナルは廃棄され、可能ならば寄贈・交換部門
に送られる。ある限られた状況においては、オリジナルは保存され、ロックされた書庫の
Pという場所に送られる。保全部門は、廃棄/移籍手順を処理する。
 著作権上の制約はすべて順守される。