参考資料 2
「原形で資料を保持する際に考慮すべき事柄」
1.証拠的価値−その資料が次の特徴を持っているか、または示している場合:
・見当マーク、削除、印刷技法、誤植等、その資料の印刷史
・かがりの位置、製本構造、背張りに用いられた印刷された故紙、表紙の材料等、その
資料の製本史
・欄外の書き込み、蔵書票、及びその資料に関連した挟み込みあるいは糊付けのエフェ
メラ
2.美的価値−その資料が次の特徴を持つ場合:
・次の特徴を示す装丁:
− 独特の技法または著しく高い芸術性
− 構造または材料の歴史的/発達史的興味
− サイン入りの/デザイナーによる装丁
− 初期の出版社による装丁
・その他、興味ある本の装飾(例:金箔、ひだ、装飾のある見返し、前小口の彩色)
・容易に複製できない、あるいはオリジナルの色またはオリジナルの木版画、エッチン
グ、石版画等でのみ意味のある図版
・本が物としてデザインされる”Artists’Books”としての重要性
・オリジナルの写真
・重要な地図
・鉛筆、インクまたは水彩のスケッチ
3.重要なタイトルの印刷史上の重要性−その資料が次に掲げるいずれかの特徴を持つ場
合:
・最初に世に現れた版
・重要な異版
・important(or collected)fine press printings
・印刷史上重要な技法を表すもの
・初期の地方出版物
4.年代−その資料が以下に該当する場合:
・[特定の年]より前に[特定の国]において印刷されたもの(例:合衆国において18
50年より前に印刷された全てのタイトル、1801年より前に印刷された全ての図書)
・地域にかかわらずインキュナブラの時代に印刷されたもの(最初の数十年間)
・特定の国において、後の特定の時代(例えば戦時中)に印刷されたもの
5.希少性−その資料が以下に該当する場合:
・RLG参加館、NUCまたはヨーロッパの主要な図書館において所蔵の少ないもの
・印刷部数が 100部より少ないもの
6.重要な、著名な、自館で収集した人物またはトピックの連想価値−その資料の中に次
のようなものがある場合:
・余白、見返し、本文中の書き込み
・このような人物の蔵書票その他の所有の印;その他の重要な由来の証拠
・重要な献呈の辞/署名
7.[特定の価格]よりも高く査定または販売された価値
8.興味のある物理的形態または特徴−その資料が次のいずれかの特徴を持つ場合:
・様々な形態の重要な技術的進歩
・ユニークな、または好奇心をそそる物理的特徴(例:興味あるすかし模様、上質皮紙
への印刷、ワックス・シール等)
・便せん、ポスター、歌集、片面刷り広告のようにすぐなくなりそうな、ある種の短命
な資料
・何らかの手書き資料
・小型本(高さ10cm以下)
・本物であるかどうか疑わしいが、物理的形態が確証の助けになるかも知れない資料
・今では珍しいスタイル/流行/大量印刷の代表例
9.展示価値−その資料が次に該当する場合:
・歴史上の出来事または重要な問題にとって、あるいは主題または創作者を説明するの
に重要な資料
・検閲または禁止された本
(RLG Preservation Microfilming Handbook,Marchl992より)