平成16年7月1日
国立大学図書館協会
第51回総会
今年4月、国立大学は法人化され、89国立大学法人が一斉にスタートした。 各法人は、自らの中期目標・中期計画を達成するため、教育・研究組織に留まら ず事務組織の改編を実行または準備してきた。
この間の大学事務組織改編により、大学図書館の場合は、学内情報関連組織と の統合・連携の枠だけでなく、研究協力、国際、地域連携といった部門との統合 が行われた。また、副学長や理事が館長を兼ねる例が多く見られる。
本シンポジウムは、その改編内容について、学術情報のストックとフローのマ ネジメントという大学図書館の使命遂行の観点から、情報システムの一元化によ る効率的なシステム形成、研究成果の電子的蓄積と発信、図書館活動の国際交流 の実現等、新しい組織によるメリットを整理し、単なる組織換えに留まらない為 の留意点を検討する。
また、大学図書館はインターネット世界の情報ステーションとして、従来から のサービスに加えて、国際学術コミュニケーションの基盤としての役割、地域社 会の文化振興事業との連携、法人化に伴う大学の評価への対応と社会への積極的 な情報発信など、新しい要請を受けている。一方、大学の厳しい財政事情は、職 員数の制限もしくは削減を求めている。幾つかの大学では、厳しい人員での組織 運営と新しい要請への対応を両立する上で、図書館へのOutsourcing導入、Junior Teaching Assistant、Library Internshipなど学生の経済支援・社会的訓練を兼 ねた業務制度により、人材の確保をはかるところや、計画しているところがある。 これらの人材の確保の動きの趣旨、効果的な活用方法、その発展の方向を含め、 法人化後の大学図書館経営について検討する。
今回のシンポジウムの目的は、法人化直前の昨年度をフォローして、大学図書 館を取り巻く、大学全体の改革の取り組みと図書館での新しい人材確保の動き等 を踏まえ、如何に大学図書館の組織改革、経営改革及び大学の新たな情報戦略に おける図書館の取り組みを推進すべきかを検討することにある。