シンポジウム「学術情報流通の改革を目指して 4 〜大手出版社が考えるビッグディール後の契約モデル〜」 を開催

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 国立大学図書館協会は、2011年1月18日(火)午後、東京大学鉄門記念講堂にてシンポジウム 「学術情報流通の改革を目指して 4 〜大手出版社が考えるビッグディール後の契約モデル〜」を開催した。 電子ジャーナルに関するシンポジウムの第4回目となる今回は、新たな電子ジャーナルの契約モデルへ向けた出版社側の動向を知るとともに、 国立大学図書館として取り得る電子ジャーナル契約の方策、あり方の議論を行おうとするもので、図書館の館長及び部課長約120名の参加があった。

 シンポジウムは、古田元夫会長(東大附属図書館長)の開会挨拶に続いて、尾城孝一東大附属図書館情報管理課長から国立大学図書館協会内に 設けられた学術情報流通改革検討特別委員会の報告が行われ、国公私立大学の図書館協会と国立情報学研究所との連携の枠組みのなかで2011年4月に 立ち上がる新コンソーシアム組織についても説明があった。

 その後、大手商業出版社(エルゼビア、シュプリンガー、ワイリー)3社の責任者により、 それぞれの「電子ジャーナル契約モデルの将来像」について発表が行われた。各社が構想中の新契約モデルは、顧客のニーズに対応できる柔軟性を 追求したものである点が強調されており、いずれも完成には時間がかかるとのことだった。

 続いて行われた参加者間のディスカッションでは、 学術情報の流通が依然として出版社主導であることへの懸念や、新契約モデルが顧客のニーズを真に満たすものであるのか疑問視する声があがり、 来年度から契約を縮小する大学の厳しい状況も報告された。シンポジウムを通して、新コンソーシアム組織による活動を軸に、 日本の全ての大学図書館と研究者が協力し、商業出版社まかせではない学術流通システムの構築を目指した継続的な取り組みを行う必要性が 改めて確認された。