シンポジウム「学術情報流通の改革を目指して〜電子ジャーナルが読めなくなる!?〜」 を開催

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 値上がりが続き購読維持が困難に直面している電子ジャーナルについて、国立大学図書館協会は、5月1日(木)午後に東京大学にてシンポジウム「学術情報流通の改革を目指して〜電子ジャーナルが読めなくなる!?〜」を開催した。シンポジウムは各方面の関係者から高い関心を集め、国公私立大学の学長や財務担当理事、大学図書館長、海外の主要学術出版経営者、学術団体関係者など、多数の参加者で会場は満席(約170席)となった。
 シンポジウムでは、西郷和彦会長(東大図書館長)の開会挨拶に続いて、伊藤義人名大図書館長が基調報告を行い、電子ジャーナルは学術雑誌を電子的に利用できるものとして学術研究に不可欠のものとなっているが、数年の内には各大学が価格上昇に耐え切れなくなって日本の学術情報基盤が一気に崩壊する可能性をシミュレーションによって描き出し、直面する危機と、打開策の必要性を強く訴えた。
 続いて行われたパネルディスカッションでは、丸本卓哉(山口大学長)、深澤良彰(早大メディアネットワークセンター所長)、デレク・ハーンク(シュプリンガー社CEO)、チ・ヨンスク(エルゼビア社副会長)の各氏が登壇し、さらに西郷館長と伊藤館長を加えて植松貞夫筑波大図書館長の司会により、多面的な討議が行われた。大学側のパネリストやフロアーからは各大学の危機的な状況について切実な声があがる一方、出版社からは論文数の増大が学術雑誌のコストを押し上げている等の主張があり、活発かつ厳しい意見交換が行われた。  シンポジウムを通して、大学と出版社ともに現在の困難な状況と課題を認識すると共に、新たな方策の可能性を追求すべく、今後もすべての関係者による積極的な取組の継続が必要であることを確認した。