平成27年度国立大学図書館協会シンポジウムを開催

講演するティアニー氏
講演するティアニー氏
 平成27年度国立大学図書館協会シンポジウム「ラーニング・コモンズ、日本とアメリカでどう違う? ラーニング・コモンズの役割を再定義する」が、去る1月29日(金)に東京大学伊藤国際学術センター・伊藤謝恩ホールを会場として開催された。

 冒頭の久留島典子国立大学図書館協会長の挨拶では、シンポジウムの企画趣旨の説明があり、日本ではこの5〜6年でラーニング・コモンズの設置が急速に進んだが、大学教育の現場というより政策的に進んだ面もあり、北米での展開との比較の中で、日本の大学図書館関係者が取り組むべき学修支援の在り方を考えたいとされた。

 前半、まずラーニング・コモンズに関する研究でも知られる中央フロリダ大学図書館研究情報サービス部長のバーバラ・ティアニー氏の講演があった。2005年頃から北米で現れたラーニング・コモンズは、フロアプランや設備のことではなく、より学生の学習に焦点をあてた大学図書館の新たなサービスモデルであるという観点で説明があり、その将来像や日本への適用可能性について問いかけがされた。次の日本大学の小山憲司教授の講演では、日本におけるラーニング・コモンズをめぐる状況と、その背景としてある大学教育のトレンドの整理がされた。

質疑及び討議の模様
質疑及び討議の模様
 後半では、大学図書館でない場所に設置されたラーニング・コモンズの成功例である同志社大学と、学びと研究をつなぐ場所づくりを目指す東京大学の事例紹介があった。講演や事例報告を受けた質疑及び討議では、教員との連携、マーケティング、FDなどがキーワードとなる活発な意見交換がフロアもまじえて行われた。

 その後、国立大学図書館協会教育学習支援検討特別委員会から、教育学習支援に関わるコミュニティ作りの提案がありシンポジウムを終了した。

 当日の参加者は公立大学、私立大学からの参加者も合わせて166名で、教育・学習支援やラーニング・コモンズへの関心の高さをうかがわせるシンポジウムとなった。